遺留分とは?遺言書があっても取り戻せる最低限の取り分

公開日: 2026/5/8

本記事の情報源について

法務省・国税庁・裁判所・日本年金機構・金融庁等の公的機関の情報をもとに作成しています。 内容の正確性に努めていますが、法令は改正される場合があります。 具体的な手続きについては最新の公的情報をご確認のうえ、司法書士・弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。

遺留分とは「遺言書があっても必ず取れる最低限の取り分」

遺言書に「全財産を長男に渡す」と書かれていても、配偶者・子・親などの近親者には法律で「最低限これだけは取れる」と保障された取り分があります。これを遺留分(いりゅうぶん)といいます。遺言書の内容が遺留分を侵害している場合、侵害された相続人は「遺留分侵害額請求」という手続きで取り戻すことができます。

ℹ 補足:遺留分は「遺産をもらう権利」ではなく「侵害された金額を現金で請求する権利」です。遺産そのもの(不動産など)を分けてもらえるわけではなく、侵害された金額相当を現金で支払ってもらいます(2019年民法改正以降)。

誰が遺留分を持っているか

すべての相続人が遺留分を持っているわけではありません。

遺留分を持っている人・持っていない人

相続人の種類遺留分備考
配偶者あり法定相続分の1/2
子(直系卑属)あり法定相続分の1/2
親(直系尊属)のみが相続人の場合あり法定相続分の1/3
兄弟姉妹なし遺言書でゼロにされても請求できない

⚠ 注意:兄弟姉妹には遺留分がありません。「親の遺言書で兄だけに全財産を渡すと書かれた」場合、弟・妹は遺留分を請求できません。

遺留分の計算方法(具体例で確認)

遺留分は「遺留分の割合 × 遺産総額(基本的には相続開始時の財産+過去10年以内の贈与)」で計算します。例えば遺産3,000万円で遺言書に「全財産を子Aに」と書かれていた場合、配偶者は750万円・子Bは375万円を子Aに請求できます。

計算例:遺産3,000万円・相続人が配偶者と子2人のケース

法定相続分遺留分割合(法定相続分の1/2)遺留分額
配偶者1/2(1,500万円)1/2750万円
子A1/4(750万円)1/2375万円
子B1/4(750万円)1/2375万円

遺留分侵害額請求の期限(1年以内)

遺留分侵害額請求には期限があります。これを過ぎると権利が消えてしまうため注意が必要です。

遺留分侵害額請求の時効

起算点期限
遺留分を侵害していることを知ったとき(遺言の内容を知ったとき)1年以内
相続開始から(知らなかった場合でも)10年以内

⚠ 注意:1年の期限は非常に短いです。「遺言の内容を知った日」から1年が経過すると請求権が時効消滅します。「今すぐ弁護士に相談するほどではない」と思っていると権利を失うことがあります。

遺留分侵害額請求の手続きの流れ

まず相手(遺言書で財産を受け取った人)に内容証明郵便で請求の意思を伝えます。これだけで1年の時効を止めることができます。その後、話し合い(協議)で解決できなければ家庭裁判所の調停・審判に進みます。

  • STEP1: 遺言書の内容を確認し、遺留分が侵害されているか計算する
  • STEP2: 相手に「内容証明郵便」で遺留分侵害額請求の意思を伝える(時効を止める)
  • STEP3: 相手と協議(話し合い)を行い、金額を決める
  • STEP4: 協議がまとまらない場合、家庭裁判所に調停を申立てる
  • STEP5: 調停不成立なら審判(裁判所が金額を決定)

💡 ポイント:STEP2の「内容証明郵便」は弁護士に依頼しなくても自分で送ることができます。ただし金額の計算や交渉は複雑なため、弁護士への相談を強くお勧めします。

よくある質問

Q. 遺言書に「遺留分を請求しないこと」と書いてあった場合は?

遺言書にそのような記載があっても、遺留分の請求権は奪えません。遺留分は法律で保障された権利であり、遺言書で排除することはできません。

Q. 遺留分を請求したら親族関係が壊れませんか?

請求すること自体は法律上の権利です。ただし、長期間にわたる裁判になる可能性もあるため、弁護士を通じた協議での解決(話し合い)を優先することをお勧めします。

Q. 相続放棄した場合、遺留分は請求できますか?

相続放棄をした場合、遺留分の請求権も失います。相続放棄は「最初から相続人でなかった」扱いになるためです。放棄するかどうかを決める前に弁護士に相談することをお勧めします。

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