準確定申告の手続き完全ガイド
公開日: 2026/4/30最終更新: 2026/6/13
本記事の情報源について
法務省・国税庁・裁判所・日本年金機構・金融庁等の公的機関の情報をもとに作成しています。 内容の正確性に努めていますが、法令は改正される場合があります。 具体的な手続きについては最新の公的情報をご確認のうえ、司法書士・弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。
目次
準確定申告とは
準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)に代わって、その年の1月1日から死亡日までの所得について行う確定申告のことです。通常の確定申告は生きている人が翌年に行いますが、亡くなった場合は相続人がその年の分の申告を代わりに行います。この手続きを「準確定申告」と言います。
準確定申告が必要なケース
すべての相続でこの手続きが必要なわけではありません。次のいずれかに当てはまる場合は、準確定申告が必要です。
- •給与収入が年2,000万円を超えていた場合
- •給与以外の所得(不動産収入・事業収入など)が20万円を超えていた場合
- •2か所以上から給与を受けていた場合
- •医療費控除・寄附金控除などを受ける場合(還付申告)
- •年の途中で退職し、年末調整を受けていない場合
- •上場株式等の譲渡益があった場合
準確定申告の期限
準確定申告の期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内」です。通常の確定申告(翌年3月15日)とは異なる点に注意してください。期限を過ぎると延滞税や加算税が発生する可能性があります。相続人が複数いる場合は、全員が連署した申告書を提出するか、各自が各自の相続分に応じて申告することができます。
準確定申告の手続き方法
準確定申告は、被相続人の住所地を管轄していた税務署に申告します(相続人の住所地ではない点に注意)。申告書は税務署の窓口で入手するか、国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。e-Taxを使ったオンライン申告も可能です。
- •STEP1: 被相続人の所得を把握する(給与明細・源泉徴収票・通帳等を確認)
- •STEP2: 控除できる費用(医療費・社会保険料等)を確認する
- •STEP3: 確定申告書(準確定申告書)を作成する
- •STEP4: 相続人全員が連署(または各自申告)する
- •STEP5: 被相続人の住所地の税務署に提出・納税する
準確定申告で還付金が発生した場合
会社員だった方が年の途中で亡くなった場合、源泉徴収されすぎていた税金が還付されることがあります。還付金は相続財産の一部として扱われます。還付金を受け取るには、申告書に「相続人が代わって受け取る」旨の記載と、相続人の口座情報が必要です。
年金受給者が亡くなった場合の準確定申告
年金を受け取っていた方が亡くなった場合、準確定申告が必要かどうかを確認する必要があります。公的年金(老齢年金)の年間受給額が400万円以下で、他の所得が20万円以下の場合は原則として準確定申告は不要です。ただし、医療費控除や生命保険料控除などで還付を受けたい場合は申告することで税金が戻ってくる可能性があります(還付申告)。また、公的年金以外に不動産収入・事業収入・株式の譲渡益があった場合は申告が必要です。源泉徴収票(日本年金機構から送られてきたもの)を確認し、源泉徴収された税額がある場合は申告によって還付されることがあります。なお、年金受給者の場合は社会保険料(国民健康保険料・介護保険料)の控除も忘れずに確認することをお勧めします。
- •申告不要のケース:公的年金のみで年間400万円以下かつ他の所得が20万円以下
- •申告が必要なケース:年金以外の収入(不動産・事業・株式など)が20万円超
- •還付申告できるケース:医療費控除・生命保険料控除・ふるさと納税(寄附金控除)がある場合
- •確認すべき書類:日本年金機構からの「公的年金等の源泉徴収票」
- •申告書の入手先:被相続人の住所地を管轄する税務署またはe-Tax
準確定申告で適用できる主な控除
準確定申告では、通常の確定申告と同様に各種控除を適用することができます。特に注意が必要なのは、控除の対象期間が「亡くなった日まで」であることです。例えば医療費控除は1月1日から死亡日までに支払った医療費が対象になります。生命保険料控除は死亡日までに支払った保険料が対象です。住宅ローン控除は、要件を満たす場合に準確定申告でも適用できます(ただし条件があるため税理士に確認が必要)。ふるさと納税(寄附金控除)は死亡日までのワンストップ特例の申請分は無効になり、確定申告(準確定申告)で控除を受けることになります。障害者控除・配偶者控除などの人的控除は、申告年の状況ではなく死亡日時点の状況で判断する点も重要です。
- •医療費控除:1月1日〜死亡日までに支払った医療費が対象(10万円または所得の5%超の部分)
- •生命保険料控除:死亡日までに支払った保険料が対象(年間最大4万円×種類別)
- •ふるさと納税(寄附金控除):ワンストップ特例は死亡により無効→準確定申告で控除を申請する
- •社会保険料控除:死亡日までに支払った国民健康保険料・国民年金保険料等
- •住宅ローン控除:要件を満たす場合に適用可(税理士に確認推奨)
- •障害者控除・配偶者控除:申告年の状況ではなく死亡日時点の状況で判断
準確定申告を期限内にしなかった場合のペナルティ
準確定申告が必要なのに4ヶ月の期限内に申告しなかった場合、次のようなペナルティが発生します。最も重いのが「無申告加算税」で、原則として納税額の15%(税務調査を受ける前に自主申告した場合は5%に軽減)が課されます。また、期限の翌日から納付日まで「延滞税」が発生します(年利7.3%〜最大14.6%程度)。ただし、還付を受ける場合(税金が戻ってくる場合)は無申告加算税は発生しません。また、申告が必要かどうかの判断が難しいケースもあります。「必要かもしれないが確認できていない」という場合は、早めに税務署または税理士に相談することをお勧めします。自主的に申告することで重加算税を回避でき、加算税も軽減されますので、気づいたら速やかに対応することが重要です。
- •無申告加算税:納税額の15%(自主申告の場合は5%に軽減)
- •重加算税:隠蔽・仮装がある場合は40%(最も重いペナルティ)
- •延滞税:期限翌日から完納日まで年利7.3〜14.6%程度
- •還付申告の場合:無申告加算税は発生しない(5年間さかのぼって申告可)
- •申告漏れの場合:税務署から「お尋ね」が届くことがある。速やかに対応する
- •気づいたら早めに:自主的に申告すれば重加算税を回避でき、加算税も軽減される
よくある質問
Q. 準確定申告は相続人全員が行う必要がありますか?
相続人が複数いる場合、原則として相続人全員が連名(連署)で1通の申告書を提出します。他の相続人が遠方にいるなど連名が難しい場合は、各相続人がそれぞれの相続分に応じた申告書を提出することも可能です。その場合は、他の相続人に申告した旨を通知する義務があります。
Q. 準確定申告を忘れていた場合は?
4ヶ月の期限を過ぎた場合でも、申告は可能です(期限後申告)。ただし、納税が発生する場合は「無申告加算税(原則15%)」と「延滞税」が加算されます。還付を受ける場合は加算税は発生しません。気づいたらできるだけ早く申告することをお勧めします。
Q. 準確定申告は税理士に頼むべきですか?
給与所得のみの単純なケースであれば自分で申告することも可能ですが、不動産収入・事業収入がある場合や、医療費控除など各種控除の適用が複雑な場合は税理士への依頼をお勧めします。相続税申告と合わせて依頼すると費用が抑えられる場合があります。
Q. 準確定申告と相続税申告は別々に必要ですか?
はい、準確定申告(期限:4ヶ月以内)と相続税申告(期限:10ヶ月以内)は別々の申告です。準確定申告は亡くなった方の「所得税」の精算、相続税申告は「相続財産に対する税金」の申告で、課税の根拠が異なります。両方が必要な場合は、税理士に合わせて依頼すると費用が抑えられる場合があります。また、準確定申告で確定した還付金は相続財産として相続税の計算対象になるため、申告の順序を考慮することも重要です。
Q. 相続人が海外在住で準確定申告はどうすればいいですか?
相続人が海外在住の場合でも、準確定申告は日本で行う必要があります(被相続人の住所地の税務署に提出)。海外在住の相続人は「納税管理人」を日本国内に設定する必要があります。連署が難しい場合は、各相続人が各自の相続分に応じた申告書を提出する方法も選択できます。e-Taxを利用したオンライン申告も可能ですが、海外からの利用には制約がある場合があります。税理士に依頼して郵送で対応するのが現実的です。
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