寄与分・特別受益とは?介護した相続人・生前贈与を受けた相続人の取り分
公開日: 2026/5/8
本記事の情報源について
法務省・国税庁・裁判所・日本年金機構・金融庁等の公的機関の情報をもとに作成しています。 内容の正確性に努めていますが、法令は改正される場合があります。 具体的な手続きについては最新の公的情報をご確認のうえ、司法書士・弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。
遺産分割で「不公平感」が生まれる2つの原因
「自分だけ親の介護をしたのに遺産は均等割りは不公平」「弟は生前に家を買ってもらったのに、また相続でも均等割りはおかしい」こうした不公平感を解消するために、民法には「寄与分」と「特別受益」という制度があります。
寄与分と特別受益の違い
| 寄与分(きよぶん) | 特別受益(とくべつじゅえき) | |
|---|---|---|
| 概要 | 介護や事業貢献で遺産を増やした相続人の取り分を増やす | 生前贈与・学費など特別な利益を受けた相続人の取り分を減らす |
| 効果 | その相続人の取り分が増える | その相続人の取り分が減る |
| 典型例 | 親の介護を10年担った長女 | 親に家を買ってもらった長男 |
寄与分:どんな貢献が認められるか
寄与分として認められるのは「財産の維持または増加に特別の貢献をした」場合です。「親族として当然の手伝い」は原則として認められません。
- •認められやすい例:専業で親の療養看護をした(介護施設に行かなかったことで節約できた費用相当)
- •認められやすい例:親の事業を無報酬・低賃金で長年手伝い、事業を発展させた
- •認められにくい例:週末だけ顔を出して世話をした(通常の親族間の扶養義務の範囲内)
- •認められにくい例:「精神的な支え」「電話での相談」など財産的貢献と言えないもの
⚠ 注意:寄与分は相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で合意する必要があります。合意できない場合は家庭裁判所の調停・審判になります。「介護記録(日記・領収書)」を残しておくと証拠になります。
特別受益:生前贈与を遺産の前払いとみなす
相続人が被相続人から生前に受けた特別の利益(贈与・学費・住宅購入費など)は、遺産分割時に「みなし相続財産」に加算して計算します。これを「持ち戻し」と言います。
特別受益の計算例(遺産3,000万円・子A・B・C)
| 子A(特別受益なし) | 子B(生前に1,000万円の住宅購入援助あり) | 子C(特別受益なし) | |
|---|---|---|---|
| みなし相続財産(遺産+持ち戻し) | — | 3,000万円+1,000万円=4,000万円 | — |
| 各自の取り分(1/3ずつ) | 4,000万円÷3≒1,333万円 | 1,333万円−1,000万円=333万円 | 1,333万円 |
ℹ 補足:遺言書に「持ち戻し免除の意思表示」があれば特別受益の計算を免除できます。また、暦年贈与の110万円以下の贈与は通常「特別受益」には該当しません。
よくある質問
Q. 介護の寄与分はどうやって金額を計算しますか?
「介護に要した費用」や「プロの介護費用と比較した際の節約額」をもとに計算します。例えば介護施設の費用が月20万円のところ、8年間自宅で介護した場合は「20万円×12ヶ月×8年=1,920万円」が目安になります。裁判所での審判になる場合、介護記録が重要な証拠になります。
Q. 親の生前贈与を受けた相続人が「特別受益に該当しない」と言い張る場合は?
話し合いで合意できない場合、家庭裁判所の遺産分割調停・審判で決定を求めることができます。贈与契約書・預金通帳の記録・不動産登記等が証拠になります。
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