相続登記を自分でやる方法|法務局への申請手順・書類・費用を解説

公開日: 2026/5/9

本記事の情報源について

法務省・国税庁・裁判所・日本年金機構・金融庁等の公的機関の情報をもとに作成しています。 内容の正確性に努めていますが、法令は改正される場合があります。 具体的な手続きについては最新の公的情報をご確認のうえ、司法書士・弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。

相続登記を自分でやれるケース・やれないケース

相続登記は自分で行うことができます。ただし、状況が複雑な場合は司法書士への依頼が現実的です。自分でできる可能性が高いケースと、専門家が必要なケースをまとめます。

  • 【自分でできる可能性が高い】相続人が1〜2名で争いがない・遺産分割協議書が作れる・不動産の数が少ない
  • 【専門家を推奨】相続人が多い(5名以上)・遺産分割で揉めている・不動産が多数(複数都道府県)・遺言書の有効性に争いがある
  • 時間と手間はかかるが、自分でやれば司法書士報酬(5〜15万円)を節約できる
  • 申請書の記載ミスは法務局に補正(修正)を求められるだけで、やり直しができる

ℹ 補足:2024年4月から相続登記が義務化されました。不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。

相続登記に必要な書類一覧

必要書類は「遺言書がある場合」と「遺産分割協議で相続する場合」で異なります。どちらのケースでも共通して必要な書類と、それぞれ追加で必要な書類をまとめます。

  • 【共通】被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本一式
  • 【共通】被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
  • 【共通】不動産を取得する相続人の住民票(現住所を証明)
  • 【共通】固定資産評価証明書(登録免許税の計算に使用・市区町村で取得)
  • 【遺産分割の場合】相続人全員の戸籍謄本・遺産分割協議書・相続人全員の印鑑証明書
  • 【遺言書がある場合】遺言書の原本(公正証書遺言または検認済みの自筆証書遺言)
  • 【法定相続の場合(遺産分割なし)】相続人全員の戸籍謄本

💡 ポイント:固定資産評価証明書は「固定資産税の納税通知書」に同封されている「課税明細書」で代用できる場合があります(最新年度のもの)。法務局に確認してください。

登録免許税の計算方法

相続登記では「登録免許税」という税金を国に納める必要があります。税額は「固定資産評価額 × 0.4%」です(売買の場合は2.0%ですが相続は0.4%と低い)。固定資産評価額は固定資産評価証明書に記載されています。1,000円未満は切り捨て、計算結果が1,000円未満の場合は1,000円になります。

登録免許税の計算例

固定資産評価額登録免許税(0.4%)
1,000万円4万円
2,000万円8万円
3,000万円12万円
5,000万円20万円

ℹ 補足:登録免許税は法務局の窓口では現金支払いはできません。収入印紙を購入して申請書に貼付するか、オンライン申請の場合は電子納付になります。収入印紙は法務局内の売店や郵便局で購入できます。

申請書の書き方

相続登記の申請書は「不動産登記申請書」です。法務局のウェブサイト(法務局ホームページ)から書式とひな形(記載例)をダウンロードできます。主な記載事項は次の通りです。

  • 登記の目的:「所有権移転」と記載
  • 原因:「(死亡の年月日)相続」と記載(例:「令和6年4月1日相続」)
  • 相続人:不動産を取得する相続人の住所・氏名・連絡先電話番号
  • 被相続人:亡くなった方の氏名
  • 添付情報:提出する書類名を列挙(「登記原因証明情報」「住所証明情報」など)
  • 申請する不動産の表示:登記事項証明書(登記簿謄本)に記載の「所在・地番・地目・地積」等
  • 登録免許税の金額と収入印紙を貼る欄

法務局への申請手順

書類が揃ったら管轄の法務局に申請します。申請方法は「窓口持参」「郵送」「オンライン申請」の3種類があります。初めての場合は窓口持参が安心です。不備があれば担当者から説明を受けてその場で対応できます。

  • STEP1:不動産の所在地を管轄する法務局を確認(法務局ウェブサイトの「管轄のご案内」で検索)
  • STEP2:申請書と全書類をひとまとめにして持参(窓口)または郵送
  • STEP3:登録免許税分の収入印紙を申請書に貼付して提出
  • STEP4:法務局が審査(通常1〜2週間)。補正(修正)が必要な場合は連絡が来る
  • STEP5:登記完了後、登記識別情報通知書(権利証の代わり)を受け取る

💡 ポイント:法務局の「登記相談」窓口を事前に利用することをお勧めします。予約制の自治体も多いですが、書類の確認や記載方法について無料で相談できます。

「相続人申告登記」という簡易手続き(義務化への対応策)

2024年4月の義務化と同時に「相続人申告登記」という制度が始まりました。これは「相続によって所有者と思われる者として登記に申し出る」簡易な手続きで、遺産分割協議がまとまっていなくても行うことができます。申請書と戸籍謄本だけで手続きでき、登録免許税も不要です。ただし、この手続きをしただけでは「所有権移転登記」は完了しておらず、最終的には通常の相続登記が必要です。義務化の「3年以内」の期限を満たすための暫定手続きとして活用できます。

  • 必要書類:申請書+被相続人との相続関係がわかる戸籍謄本
  • 費用:登録免許税なし(無料)
  • デメリット:所有権移転登記は別途必要。売却や担保設定はできない
  • 使い道:遺産分割の話し合いが長引いている間の、義務化期限(3年)への対応策

よくあるミスと注意点

自分で相続登記を行う際によくあるミスをまとめます。事前に確認しておくことで、法務局での補正(やり直し)を減らせます。

  • 固定資産評価証明書が最新年度のものでない(毎年4月に更新されるため当年度のものを取得)
  • 被相続人の住所と登記簿の住所が異なる(転居していた場合は住民票の除票で変遷を証明)
  • 遺産分割協議書の印鑑が実印でない(相続人全員の実印と印鑑証明書が必要)
  • 申請する不動産の「地番」と「住居表示」を混同する(登記簿の地番で申請する)
  • 共有名義で登記する場合に持分(割合)の記載が漏れる

⚠ 注意:不動産の「住居表示」(〇〇市〇〇町1丁目2番3号)と「地番」(〇〇市〇〇町1丁目2番3)は異なります。登記申請では登記簿に記載の「地番」を使用してください。地番は法務局の「登記情報提供サービス(有料)」または固定資産評価証明書で確認できます。

よくある質問

Q. どの法務局に申請すればいいですか?

不動産の所在地を管轄する法務局に申請します。法務局のウェブサイトにある「管轄のご案内」で郵便番号や住所を入力すると、管轄の法務局を調べられます。同一都道府県内の複数の法務局管轄にまたがる不動産がある場合は、それぞれ別々に申請が必要です。

Q. 申請書のひな形はどこで入手できますか?

法務局の公式ウェブサイト(moj.go.jp)の「不動産登記の申請書様式について」のページから、相続を原因とする所有権移転登記の申請書ひな形と記載例をダウンロードできます。また、各法務局の窓口でも書式を配布しています。

Q. 申請から完了まで何日かかりますか?

法務局の込み具合によって異なりますが、通常1〜2週間程度です。年度末(2〜3月)は混み合い、2〜3週間かかることもあります。補正(書類不備の修正)が入ると、さらに日数がかかります。急ぐ場合は窓口で相談してみてください。

Q. 相続登記を放置するとどうなりますか?

2024年4月の義務化以降、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記しないと10万円以下の過料(行政罰)の対象になります。また、登記しないまま長期間経過すると、次の相続が発生した際に相続人が増え、全員の合意が必要になる手続きがさらに困難になります。早めの対応をお勧めします。

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