不動産の相続登記手続き完全ガイド
公開日: 2026/4/30最終更新: 2026/6/13
本記事の情報源について
法務省・国税庁・裁判所・日本年金機構・金融庁等の公的機関の情報をもとに作成しています。 内容の正確性に努めていますが、法令は改正される場合があります。 具体的な手続きについては最新の公的情報をご確認のうえ、司法書士・弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。
目次
相続登記の義務化(2024年4月〜)
2024年4月1日から、不動産の相続登記が法律で義務化されました。相続(遺言による取得も含む)により不動産を取得したことを知った日から3年以内に、法務局へ相続登記の申請をしなければなりません。この義務に違反した場合、10万円以下の過料(罰則)が科される可能性があります。また、2024年4月1日以前に発生した相続も対象となり、この場合の期限は2027年3月31日です。
相続登記の手続き方法
相続登記は、不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)に申請します。申請方法は「窓口申請」「郵送申請」「オンライン申請」の3種類があります。手続きは自分で行うこともできますが、書類が複雑なため、多くの方は司法書士に依頼しています。
- •STEP1: 相続人の確定(戸籍謄本等の収集)
- •STEP2: 遺産分割協議(複数の相続人がいる場合)
- •STEP3: 遺産分割協議書の作成・署名捺印
- •STEP4: 固定資産税評価証明書の取得
- •STEP5: 登記申請書の作成と法務局への提出
- •STEP6: 登記完了証・登記識別情報の受取
相続登記に必要な書類(概要)
必要書類は相続の方法(遺産分割・遺言・法定相続)によって異なります。主な共通書類は「被相続人の出生〜死亡の戸籍謄本一式」「相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書」「固定資産税評価証明書」「遺産分割協議書」「登録免許税(評価額×0.4%)」です。書類の詳細・記載方法・申請手順は「相続登記を自分でやる方法」の記事で詳しく解説しています。
💡 ポイント:自分で申請したい方は「相続登記を自分でやる方法」の記事へ。申請書の書き方・法務局への手順・よくあるミスまで網羅しています。
相続登記の費用
相続登記にかかる費用は「登録免許税」と「専門家報酬」の2種類です。登録免許税は不動産の固定資産税評価額の0.4%です(例:評価額2,000万円の場合、8万円)。司法書士に依頼する場合の報酬は、不動産の数・相続人の数・複雑さによって異なりますが、一般的に5〜15万円程度が目安です。このほか、戸籍謄本や評価証明書の取得実費(数千円〜1万円程度)もかかります。
相続登記の費用の内訳(目安)
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 登録免許税 | 固定資産税評価額 × 0.4% |
| 司法書士報酬 | 5〜15万円程度(不動産・相続人の数による) |
| 戸籍謄本等の取得実費 | 数千円〜1万円程度 |
| 登記事項証明書(取得時) | 1通 480〜600円程度 |
| 評価証明書の取得 | 1通 300〜400円程度 |
遺産分割が決まらないとき:相続人申告登記
相続登記は3年以内が義務ですが、遺産分割協議がまとまらず誰が不動産を取得するか決まらないケースがあります。その場合でも義務を果たせるよう、2024年4月から「相続人申告登記」という簡易な制度が新設されました。これは「自分が相続人である」ことを法務局に申し出る手続きで、登記名義を確定させるものではありませんが、これを行えば過料の対象となる相続登記の義務を一旦果たしたことになります。手続きが簡易で添付書類も少なく、登録免許税もかかりません。遺産分割がまとまった後に、改めて正式な相続登記を行います。
- •目的:遺産分割が決まらなくても相続登記の義務(3年以内)を果たすための簡易手続き
- •効果:申し出た相続人が義務を履行したとみなされる(過料を回避できる)
- •特徴:単独で申請可能・添付書類が少ない・登録免許税がかからない
- •注意:名義を確定する手続きではないため、後で正式な相続登記が別途必要
ℹ 補足:相続人申告登記はあくまで「義務を一旦果たす」ための暫定的な手続きです。不動産を売却・担保設定するには正式な相続登記が必要なため、遺産分割がまとまり次第、本来の登記を行いましょう。
相続登記でよくある失敗・注意点
相続登記を自分で進める場合や、複数の相続にまたがる場合に起こりやすい失敗があります。特に多いのが「数次相続(すうじそうぞく)」の見落としです。登記をしないまま長年放置していると、その間に相続人の一人が亡くなり、さらにその相続人へと権利が分散していきます。相続人が10人以上に膨れ上がり、全員の同意を得るのが極めて困難になるケースも少なくありません。早めに手続きすることが最大のトラブル回避策です。
- •数次相続:登記を放置している間に相続人が亡くなり、権利関係がさらに複雑化する
- •戸籍の取得漏れ:被相続人の出生から死亡までの戸籍が一通でも欠けると登記できない
- •評価証明書の年度:登録免許税の計算には申請年度の固定資産税評価額が必要
- •私道・共有持分の見落とし:自宅前の私道や共有名義の土地を登記し忘れるケースが多い
- •未登記建物:登記されていない建物がある場合は、表題登記など別の手続きが必要なことがある
よくある質問
Q. 相続登記を放置したらどうなりますか?
義務化以降は10万円以下の過料(罰則)の対象になります。また、登記をしないと不動産を売却したり担保に入れたりすることができません。さらに、次の相続が発生すると権利関係がさらに複雑になり、将来の手続きが非常に困難になります。早めに手続きすることを強くお勧めします。
Q. 不動産が複数の都道府県にある場合は?
不動産ごとに、その所在地を管轄する法務局に申請が必要です。複数の法務局に対してそれぞれ申請しなければなりません。ただし、同じ法務局の管轄内の不動産であれば、一括申請が可能です。
Q. 相続登記は自分でできますか?
法律上は自分で申請することも可能です。法務局では「登記相談」を無料で受け付けており、書き方を教えてもらうことができます。自分でやる場合の具体的な手順・書類・注意点は「相続登記を自分でやる方法」の記事をご覧ください。ただし、戸籍の収集や書類の確認に時間がかかるため、多くの方は司法書士に依頼しています。
Q. 相続登記の3年の期限はいつから数えますか?
「自己のために相続の開始があったことを知り、かつその不動産を取得したことを知った日」から3年以内です。多くの場合は被相続人の死亡を知り、遺産に不動産があると把握した時点が起算点になります。遺産分割によって取得した場合は、分割が成立した日から3年以内が期限です。なお、2024年4月1日より前に発生した相続については、起算点が早くても2027年3月31日までが期限とされています。
Q. 古い名義(祖父母など)のまま放置されていた不動産はどうなりますか?
登記名義が祖父母など過去の世代のままになっている場合、その間に発生したすべての相続をさかのぼって整理する必要があります(数次相続)。相続人が多数に分散していることが多く、戸籍収集と相続人全員の同意取り付けに長い時間がかかります。このような複雑なケースは自力での対応が難しいため、司法書士への相談を強くお勧めします。なお、相続人申告登記を使えば、まず過料の対象となる義務だけは果たすことができます。
Q. 相続した不動産を売却する予定でも登記は必要ですか?
はい、必要です。不動産を売却するには、いったん相続人の名義に相続登記をしてからでないと売買による所有権移転登記ができません。買主に名義を移すためにも、相続登記は売却の前提となります。売却を予定している場合は、売却スケジュールに合わせて早めに相続登記を済ませておくことをお勧めします。譲渡所得税や空き家の特例など税務上の論点もあるため、税理士への確認も検討してください。
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