遺族年金の申請方法|受給要件・金額・手続き先をわかりやすく解説
公開日: 2026/5/9最終更新: 2026/6/16
本記事の情報源について
法務省・国税庁・裁判所・日本年金機構・金融庁等の公的機関の情報をもとに作成しています。 内容の正確性に努めていますが、法令は改正される場合があります。 具体的な手続きについては最新の公的情報をご確認のうえ、司法書士・弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。
目次
遺族年金とは:亡くなった方の年金加入歴によって内容が変わる
遺族年金は、一家の生計を支えていた方が亡くなった場合に、遺族の生活を支えるために国が支給する公的年金給付です。亡くなった方の年金加入歴(国民年金か厚生年金か)によって受け取れる給付の種類・金額が大きく変わります。大きく分けて「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があり、加入歴によってはどちらか一方、または両方受け取れます。
ℹ 補足:遺族年金は相続財産ではないため、遺産分割の対象外です。受給権は法律で定まった遺族固有の権利です。
遺族基礎年金(国民年金):受給できる遺族と金額
遺族基礎年金は、亡くなった方が国民年金に加入していた(または老齢基礎年金を受け取っていた)場合に支給されます。ただし、受給できる遺族の範囲が「子のある配偶者」または「子」に限定されており、子のいない配偶者は受け取れない点に注意が必要です。
- •受給できる遺族:子(18歳年度末までの子、または障害等級1〜2級の子)のある配偶者、または子のみ
- •保険料納付要件:亡くなった時点で保険料の未納が全期間の3分の1未満であること(直近1年間に未納がないことでも可)
- •年金額(2024年度):816,000円+子の加算(1〜2人目:各234,800円、3人目以降:各78,300円)
- •子のいない妻・夫:遺族基礎年金は受け取れない。代わりに寡婦年金・死亡一時金が支給される場合あり
遺族厚生年金(厚生年金):受給できる遺族と金額
亡くなった方が厚生年金(会社員・公務員)に加入していた場合、遺族基礎年金に上乗せして遺族厚生年金が支給されます。遺族厚生年金は対象範囲が広く、子のいない配偶者(30歳以上の妻、または55歳以上の夫)も受け取れます。
- •受給できる遺族:配偶者・子・父母・孫・祖父母(優先順位あり)
- •年金額:亡くなった方の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3
- •中高齢寡婦加算:厚生年金加入期間が20年以上の夫が亡くなった場合、妻が40〜65歳の間に612,000円/年が加算
- •30歳未満の子のない妻:遺族厚生年金は5年間の有期給付のみ
- •夫(男性)が配偶者として受け取るには55歳以上が条件(60歳から支給開始)
共済年金(公務員・教員等)の遺族給付
2015年10月以降、共済年金は厚生年金に統合されており、公務員・教員等が亡くなった場合も「遺族厚生年金」として支給されます。ただし旧共済年金の「職域加算」部分が「年金払い退職給付」として残っており、独自の遺族給付(遺族一時金・遺族年金)が上乗せで支給される場合があります。勤務先の共済組合に個別に確認してください。
遺族基礎年金と遺族厚生年金の違い(一覧)
2つの遺族年金は「誰が受け取れるか」「いくら受け取れるか」「どこに申請するか」が異なります。亡くなった方が会社員・公務員だった場合は両方を受け取れることもあります。下表で違いを整理します。
遺族基礎年金と遺族厚生年金の比較
| 項目 | 遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 |
|---|---|---|
| 亡くなった方の加入 | 国民年金(自営業・専業主婦など) | 厚生年金(会社員・公務員など) |
| 受け取れる遺族 | 子のある配偶者、または子 | 配偶者・子・父母・孫・祖父母(優先順位あり) |
| 子がいない配偶者 | 受け取れない | 受け取れる(年齢などの条件あり) |
| 申請窓口 | 市区町村の国民年金担当窓口 | 年金事務所(公務員等は共済組合) |
ℹ 補足:会社員・公務員だった方が亡くなり、子がいる配偶者の場合は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受け取れることがあります。金額は加入期間や報酬によって一人ひとり異なるため、正確な額は年金事務所で試算してもらうのが確実です。
遺族年金を受け取れない場合の他の給付
子のいない配偶者など、遺族基礎年金の対象にならない場合でも、国民年金には別の給付が用意されています。要件を満たせば受け取れる可能性があるため、申請前に確認しましょう。
- •寡婦年金:国民年金の保険料を一定期間納めた夫が亡くなり、婚姻10年以上の妻が60〜65歳の間に受け取れる(他の要件あり)
- •死亡一時金:国民年金の保険料を一定期間納めた方が年金を受け取らずに亡くなり、遺族基礎年金も受け取れない場合に支給される一時金
- •寡婦年金と死亡一時金は両方は受け取れず、どちらか一方を選択する
- •いずれも市区町村の国民年金窓口または年金事務所で相談・申請する
💡 ポイント:「遺族基礎年金は受け取れない」と言われても、寡婦年金や死亡一時金の対象になることがあります。あきらめずに、亡くなった方の年金加入状況を窓口で確認してもらいましょう。
申請先と手続きの流れ
遺族年金の申請先は、亡くなった方の最後の年金加入先によって異なります。複数の種類を受け取れる場合でも、通常1か所に申請するだけで手続きできます。
- •国民年金(遺族基礎年金のみ):市区町村の国民年金担当窓口
- •厚生年金(会社員・一般職):最寄りの年金事務所(日本年金機構)
- •共済年金(公務員・私学等):亡くなった方が加入していた共済組合
- •請求書の入手:日本年金機構のウェブサイトでダウンロード可、または窓口で入手
- •時効:遺族年金の受給権は5年で時効(さかのぼって受け取れる期間が5年に限られる)
⚠ 注意:遺族年金には5年の時効があります。受給資格があることに気づかず、申請が遅れると受け取れる期間が短くなります。早めに年金事務所や市区町村窓口に相談することをお勧めします。
申請に必要な書類
遺族年金の請求に必要な主な書類をまとめます。窓口で確認しながら準備するとスムーズです。
- •遺族年金請求書(窓口またはウェブから入手)
- •亡くなった方の年金証書または基礎年金番号通知書
- •死亡診断書のコピー(または死亡が確認できる書類)
- •亡くなった方と請求者の続柄がわかる戸籍謄本(全部事項証明書)
- •請求者の戸籍謄本・住民票・マイナンバーカードまたは通知書
- •受取口座の通帳またはキャッシュカード
- •子がいる場合:子の在学証明書(18歳年度末まで)または障害年金証書
65歳以降は自分の年金との調整が必要
配偶者が65歳になると自分の老齢基礎年金を受け取れるようになります。この時点で「老齢基礎年金 + 遺族厚生年金」か「老齢基礎年金 + 老齢厚生年金の一部 + 遺族厚生年金の差額」のどちらかを選ぶ必要があります。選択を誤ると損になることもあるため、65歳到達時に年金事務所で試算してもらうことをお勧めします。
よくある質問
Q. 夫が亡くなりましたが、私(妻)は専業主婦でした。遺族年金を受け取れますか?
夫が厚生年金に加入していた場合、妻は遺族厚生年金を受け取れます(30歳以上の妻であれば子がいなくても可)。夫が国民年金のみの場合、子(18歳年度末以下)がいなければ遺族基礎年金は受け取れませんが、寡婦年金(60〜65歳)や死亡一時金の対象になる場合があります。
Q. 子どもが成人していますが、遺族年金を受け取れますか?
成人した子(18歳年度末を超えた子)は、原則として遺族年金の受給対象外です。ただし障害等級1〜2級に該当する場合は例外的に対象になります。
Q. いつまでに申請しなければなりませんか?
法律上、遺族年金の受給権には5年の時効があります。これは「亡くなった日から5年以内に申請しないと受け取れない」という意味ではなく、過去5年分しかさかのぼれないという意味です。ただし申請が遅れるほど受け取れる総額が少なくなるため、なるべく早く申請することをお勧めします。
Q. 遺族年金を受け取りながら自分で働いても大丈夫ですか?
遺族基礎年金は働いていても原則として減額されません。遺族厚生年金は、受給者が65歳未満の場合は在職中の自分の厚生年金(報酬比例部分)と合わせて支給停止になる仕組みがあります。詳しくは年金事務所にご確認ください。
Q. 遺族年金に税金はかかりますか?
遺族基礎年金・遺族厚生年金などの公的な遺族年金は、原則として非課税です。所得税・住民税の課税対象にはならず、確定申告の所得にも含めません。ただし、勤務先の企業年金や個人で加入した私的年金から支払われる遺族給付などは取り扱いが異なる場合があります。判断に迷う場合は税務署や税理士に確認してください。
Q. 申請から実際に振り込まれるまで、どのくらいかかりますか?
書類を揃えて申請してから、年金証書が届くまで通常1〜2か月程度、その後さらに数十日程度で初回の振り込みが行われるのが一般的です。書類に不備があるとさらに時間がかかります。必要書類は事前に窓口で確認し、まとめて提出するとスムーズです。受給権には5年の時効があるため、早めの申請をおすすめします。
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