国際相続:海外在住者・外国財産がある場合の手続き

公開日: 2026/5/20

本記事の情報源について

法務省・国税庁・裁判所・日本年金機構・金融庁等の公的機関の情報をもとに作成しています。 内容の正確性に努めていますが、法令は改正される場合があります。 具体的な手続きについては最新の公的情報をご確認のうえ、司法書士・弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。

国際相続が発生する3パターン

次のいずれかで日本の相続が国際的要素を含みます。

  • 相続人の誰かが海外在住(日本国籍 or 永住権)
  • 被相続人が外国籍、または外国に住所
  • 相続財産が外国にある(外国不動産・海外口座・外貨建て資産)

準拠法の決定(法の適用に関する通則法36条)

相続の準拠法は被相続人の本国法によります。被相続人が日本国籍なら日本法、米国籍なら米国法(州法も含む)。被相続人が複数国籍の場合は密接関連国の法律が適用されます。

海外在住相続人の必要書類

印鑑証明書を取得できない海外在住者は、現地の在外公館(日本大使館・領事館)で『サイン証明書(署名証明書)』を取得します。

  • 在外公館で『サイン証明書』を取得(領事の面前で署名)
  • 現地住所証明(米国: Notarized Affidavit、英国: Council Tax Bill 等)
  • 戸籍謄本(日本の本籍地から郵送請求可能)
  • 在留証明書(住民票代わり、在外公館で取得)
  • 翻訳(公証翻訳が必要なケース有)

アポスティーユ(外国公文書の認証)

日本の公文書(戸籍謄本・登記事項証明書等)を外国で使う場合、外務省でアポスティーユを取得します。ハーグ条約加盟国向け。非加盟国は領事認証(外務省+その国の領事館)が必要です。

外国不動産・海外口座の取り扱い

外国不動産は所在地国の法律に従って手続きします(プロベート、相続登記)。海外口座は各国の銀行に死亡証明書・現地翻訳・相続関係証明を提出。

  • 米国: プロベート手続きが必要(州により異なる)。Living Trust があれば回避可能
  • EU: 2015年EU相続規則により被相続人の常居所地法が原則
  • アジア(韓国・台湾等): 各国の戸籍制度に基づく手続き

相続税の取り扱い

日本の相続税は被相続人と相続人それぞれの『日本での居住期間』により課税範囲が変わります。

  • 被相続人・相続人とも日本に居住: 全世界の財産が課税対象
  • 相続人が海外居住10年超: 一部の海外財産は課税対象外
  • 外国でも相続税が課された場合: 外国税額控除で二重課税回避

納税管理人の指定(国税通則法117条)

相続人が海外在住の場合、日本での申告・納税のため『納税管理人』を指定する必要があります。納税管理人は日本居住の家族・税理士・親族から選任します。

よくある質問

Q. サイン証明書はどこで取れますか?

現地の日本大使館・総領事館の領事窓口で取得します。本人が領事の面前で書類に署名し、領事が署名を証明する形式です。事前予約推奨。手数料は2,000円相当(現地通貨)。

Q. 米国でプロベート手続きが必要と言われましたが?

米国財産(不動産・銀行口座)は遺言検認裁判所(Probate Court)で手続きします。州により異なり、6ヶ月-2年かかります。Living Trust や Joint Tenancy で生前に対策していれば回避可能。米国弁護士(Estate Attorney)への相談必須。

Q. 日本に納税管理人がいない場合は?

税理士法人や信託銀行が納税管理人サービスを提供しています。年間数万円-数十万円。海外資産が多い場合は税理士に申告まで一括依頼するのが一般的です。

Q. アポスティーユと公証翻訳の違いは?

アポスティーユは『日本の公文書であることの証明』。公証翻訳は『翻訳が正確であることの証明』。両方が必要なケースが多い(公証翻訳には公証人の認証+アポスティーユ)。

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