相続時精算課税制度とは?2024年改正で何が変わったか
公開日: 2026/5/8
本記事の情報源について
法務省・国税庁・裁判所・日本年金機構・金融庁等の公的機関の情報をもとに作成しています。 内容の正確性に努めていますが、法令は改正される場合があります。 具体的な手続きについては最新の公的情報をご確認のうえ、司法書士・弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。
目次
相続時精算課税制度とは「2,500万円まで贈与税ゼロ、ただし後で相続税に精算」
相続時精算課税制度は、生前に最大2,500万円まで贈与税ゼロで財産を渡せる制度です。ただし「贈与した財産は将来の相続時に相続財産に加算して相続税を計算する」というルールがあります。名前の通り「精算」が前提の制度です。
ℹ 補足:相続時精算課税制度は「節税」というより「早めに財産を渡す(贈与のタイミングを前倒しする)」ための制度です。相続税が確実に節税できるわけではありません。
2024年改正のポイント:年110万円の基礎控除が追加
2024年1月の改正で、相続時精算課税制度に「年間110万円の基礎控除」が新設されました。これが最大の変更点です。
改正前後の比較
| 旧制度(〜2023年) | 新制度(2024年〜) | |
|---|---|---|
| 年間の基礎控除 | なし(すべて2,500万円の特別控除を使う) | 年110万円(新設) |
| 110万円以下の贈与 | すべて相続財産に加算される | 相続財産に加算されない |
| 申告義務 | たとえ少額でも毎年申告が必要 | 110万円以下なら申告不要 |
💡 ポイント:2024年以降、相続時精算課税制度を選択した後も「年110万円以内の贈与は相続財産に加算されない」ため、実質的に暦年贈与と同じ非課税枠を持ちつつ、大きな金額の移転も可能になりました。
暦年贈与 vs 相続時精算課税:どちらを選ぶか
制度の選択は一度行うと取り消せません(同一の贈与者からの贈与に対して)。状況に合わせて選択してください。
暦年贈与 vs 相続時精算課税 比較
| 比較項目 | 暦年贈与 | 相続時精算課税 |
|---|---|---|
| 年間非課税枠 | 110万円 | 110万円(2024年〜新設) |
| 累計の大型贈与 | 難しい(贈与税がかかる) | 2,500万円まで贈与税ゼロ |
| 相続財産への加算 | 7年以内の贈与を加算 | 110万円超過分をすべて加算 |
| 取り消し | できる(毎年選択) | できない(一度選択すると継続) |
| 向いているケース | 長期間コツコツ渡したい | まとまった財産を早めに渡したい |
相続時精算課税が向いているケース
以下のような状況では相続時精算課税の利用を検討する価値があります。ただし必ず税理士に相談してから選択してください。
- •子・孫に自社株(非上場株式)を早めに渡して事業承継を進めたい
- •将来値上がりが見込まれる資産(不動産・株)を早めに移転させたい(贈与時の評価額で精算できるため)
- •まとまった資金(住宅購入費用など)を子に渡したい
- •贈与者が比較的若く(50〜60代)、7年ルールの影響を受けやすい状況
⚠ 注意:「相続時精算課税を選んだら暦年贈与に戻せない」点が最大の注意点です。一度選択すると、その贈与者からの贈与はすべて相続時精算課税の対象になります(取り消し不可)。
よくある質問
Q. 相続時精算課税制度は誰でも使えますか?
贈与する側(贈与者)が60歳以上の父母または祖父母、受け取る側(受贈者)が18歳以上の子または孫であることが要件です。最初の年に税務署への届出(相続時精算課税選択届出書)が必要です。
Q. 2,500万円を超えた分はどうなりますか?
2,500万円の特別控除を超えた贈与額に対して、一律20%の贈与税がかかります。ただし相続時にその20%分は相続税から控除されます(精算されます)。
Q. 相続時精算課税を使うと相続税が増えることはありますか?
あります。特に「贈与した不動産の評価額が後で下がった場合」などに注意が必要です。贈与時の評価額で精算するため、相続時に価値が下がっていても贈与時の高い評価額で相続税がかかります。
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