生前贈与で相続税を減らす方法|年110万円・7年ルール・注意点

公開日: 2026/5/8

本記事の情報源について

法務省・国税庁・裁判所・日本年金機構・金融庁等の公的機関の情報をもとに作成しています。 内容の正確性に努めていますが、法令は改正される場合があります。 具体的な手続きについては最新の公的情報をご確認のうえ、司法書士・弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。

なぜ生前贈与で相続税が減るのか

相続税は「亡くなった時点の財産」にかかります。つまり、生きているうちに財産を子や孫に渡しておけば、その分だけ相続税の対象となる財産が減ります。これが「生前贈与による相続税対策」の基本的な仕組みです。ただし、亡くなる直前の贈与は相続財産に「持ち戻し」されるルールがあります(後述)。

ℹ 補足:生前贈与は「相続税対策」だけでなく、「財産を生きているうちに子に渡す」という意思決定そのものに価値があります。焦って節税目的だけで動くのではなく、総合的に考えることが重要です。

暦年贈与:年間110万円は贈与税がかからない

贈与税には「基礎控除額110万円/年」があります。毎年1月1日〜12月31日の間に110万円以下の贈与であれば、贈与税はかかりません。これを「暦年贈与(れきねんぞうよ)」と言います。

暦年贈与の基本ルール

項目内容
非課税枠年間110万円(受け取る側1人あたり)
対象者の制限なし(子・孫・第三者でも可)
手続き特に不要(ただし記録を残すことを推奨)
申告110万円以下なら不要

💡 ポイント:子2人・孫2人の計4人に毎年110万円ずつ贈与すると、年間440万円を非課税で渡せます。10年続けると4,400万円の移転が可能です。

2024年改正:「7年ルール」に変わった(旧3年ルール)

2024年1月から、相続直前の贈与が「持ち戻し(相続財産に加算)」される期間が3年から7年に延長されました。これが相続税対策に最も影響する改正です。

改正前後の比較

旧ルール(〜2023年)新ルール(2024年〜)
持ち戻し期間相続前3年以内の贈与相続前7年以内の贈与
持ち戻し対象外の金額なし延長された4年間分(4〜7年前)の贈与は合計100万円まで控除
影響を受ける人亡くなる直前3年で贈与した人亡くなる直前7年で贈与した人

⚠ 注意:2024年1月以降の贈与から新ルールが適用されます。「3年前に渡したから大丈夫」ではなく「7年前まで遡られる」ことを念頭においてください。より早い段階から贈与を開始することが重要になりました。

「名義預金」に注意:もらった側が管理していないと贈与が否認される

子の名義で口座を開設し、親がお金を入れて管理している場合、税務調査で「実態は親の財産(名義預金)」と判断され、贈与として認められないケースがあります。

  • 贈与を受けた側(子・孫)が自分で管理する口座に入れる
  • 毎年同じ日・同じ金額の贈与は「定期贈与(110万円×10年分を最初から決めていた一括贈与)」と見なされる恐れがある
  • 贈与契約書を毎年作成しておくと証拠になる
  • 受け取った側が実際に使う(旅行費・生活費等)と実態を伴った贈与と認められやすい

⚠ 注意:毎年110万円ちょうどを機械的に繰り返すと「最初から1,100万円を渡すと決めていた定期贈与」と税務署に判断されるリスクがあります。金額を毎年少し変える(105万円、118万円など)ことで対策できます。

暦年贈与以外の非課税制度

年110万円の枠以外にも、条件を満たせば使える非課税制度があります。

主な贈与の非課税制度

制度名非課税限度額条件
教育資金の一括贈与最大1,500万円30歳未満の子・孫への教育費。専用口座に入金が必要
結婚・子育て資金の一括贈与最大1,000万円18〜49歳への結婚・子育て費用
住宅取得等資金の贈与最大500〜1,000万円省エネ・耐震住宅等の購入資金。2026年末まで

ℹ 補足:これらの特例制度は「相続財産への持ち戻し」の対象外です(暦年贈与の7年ルールが適用されない)。ただし各制度に細かい要件があるため、税理士に確認することをお勧めします。

よくある質問

Q. 生前贈与を始めるなら何歳から?

7年ルールがあるため、遅くとも70歳頃には開始するのが理想です。ただし「いつ亡くなるか」は誰にもわからないため、相続税対策が必要と感じたらなるべく早く始めることをお勧めします。

Q. 贈与契約書は必ず作成しないといけませんか?

法律上の義務はありませんが、税務調査で「贈与があった事実」を証明するために作成することを強くお勧めします。税理士に依頼すると数万円程度で作成できます。

Q. 贈与を受けた後に贈与した人が亡くなった場合、7年内なら相続税を払い直すのですか?

7年以内の贈与は相続財産に加算されます。ただし贈与時に支払った贈与税は相続税から控除されるため、二重課税にはなりません。

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