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エンディングノートと遺言書の違い|法的効力・書くべき内容・使い分け

公開日: 2026/6/12

本記事の情報源について

法務省・国税庁・裁判所・日本年金機構・金融庁等の公的機関の情報をもとに作成しています。 内容の正確性に努めていますが、法令は改正される場合があります。 具体的な手続きについては最新の公的情報をご確認のうえ、司法書士・弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。

目次

  1. 1. エンディングノートと遺言書、何が違うのか
  2. 2. エンディングノートに法的効力がない理由
  3. 3. 遺言書の種類と法的効力
  4. 4. 自筆証書遺言の4つの要件
  5. 5. 法務局の自筆証書遺言書保管制度(2020年〜)
  6. 6. エンディングノートに書くべき内容
  7. 7. エンディングノートと遺言書の使い分け
  8. 8. 遺言書を作成する際の注意点
  9. 9. よくある質問

エンディングノートと遺言書、何が違うのか

「エンディングノート」と「遺言書」はどちらも「自分の意思を残す書類」ですが、法律上の位置づけはまったく異なります。エンディングノートは、医療・介護の希望や家族へのメッセージ、連絡先などを自由に書き留めるためのノートで、法的な効力はありません。一方、遺言書は民法に定める方式を満たして作成した場合に、財産の承継先などを法的に指定できる書類です。この違いを正しく理解しておくことが、いざというときのトラブルを防ぐ第一歩となります。

エンディングノートと遺言書の主な違い

項目エンディングノート遺言書
法的効力なしあり(民法の方式を満たした場合)
財産の承継先指定できないできる
書き方の制約なし(自由に記載)民法に定める厳格な方式が必要
医療・介護の希望書ける記載しても法的効力はない
家族へのメッセージ書ける書けるが主目的ではない
費用ノート代のみ方式により異なる(無料〜数万円)

エンディングノートに法的効力がない理由

エンディングノートは書き方・形式に制約がないため、誰でも手軽に書けるという利点があります。しかしその自由さゆえに、民法が定める遺言書の要件を満たさず、財産の処分に関する指示は法律上の拘束力を持ちません。たとえばエンディングノートに「預貯金はすべて長女に渡してほしい」と書いても、他の相続人が同意しない限り、その通りに分割する義務はありません。エンディングノートは家族への「お願い」や「希望の伝達」にとどまる書類と理解しておく必要があります。

⚠ 注意:エンディングノートに財産の分け方を書いても、法律上の効力はありません。財産の承継先を確実に指定したい場合は、別途、遺言書を作成する必要があります。

遺言書の種類と法的効力

遺言書は民法に定める方式を満たすことで法的効力が生じます。個人が作成できる主な方式として「自筆証書遺言(民法968条)」と「公正証書遺言(民法969条)」の2種類があります。どちらも法的効力を持ちますが、作成方法・費用・安全性に違いがあります。

自筆証書遺言と公正証書遺言の比較

項目自筆証書遺言公正証書遺言
作成者本人のみ公証人が作成
費用原則無料(保管制度利用時は3,900円)公証人手数料(財産額に応じて数万円〜)
証人不要証人2人が必要
紛失・偽造リスク自己管理の場合あり原本は公証役場で保管
家庭裁判所の検認原則必要(保管制度利用時は不要)不要

自筆証書遺言の4つの要件

自筆証書遺言は、次の4つの要件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると遺言書全体が無効になる場合があるため、慎重に確認することが大切です。

  • •全文を自書する:遺言書の本文はすべて本人が手書きすること(パソコン・代筆は無効)
  • •財産目録のみPC可:財産の一覧を別紙で添付する場合は、パソコン作成や通帳コピーも認められる。ただし財産目録の毎葉(各ページ)に本人の署名と押印が必要
  • •日付を記載する:「〇〇年〇月〇日」と具体的な日付を自書すること(「〇月吉日」等は無効)
  • •氏名を自書する・押印する:氏名を自書し、印鑑を押すこと(認め印でも可)

ℹ 補足:2019年の民法改正により、財産目録のみパソコン作成・通帳コピーの添付が認められるようになりました(各ページへの署名・押印が条件)。ただし、本文は引き続き全文自書が必要です。

法務局の自筆証書遺言書保管制度(2020年〜)

2020年7月から、自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)に預ける「自筆証書遺言書保管制度」が始まりました。この制度を利用すると、通常の自筆証書遺言では必要な「家庭裁判所による検認」が不要になります。また、法務局が保管するため紛失・偽造・隠蔽のリスクを減らすことができます。手数料は1件3,900円で、本人が法務局に持参して手続きを行います。遺言者が亡くなった後、相続人や受遺者は遺言書情報証明書の交付を請求することができます。

  • •検認不要:相続開始後に家庭裁判所での検認手続きを省略できる
  • •紛失・偽造リスクの低減:法務局が原本を保管するため、発見されない・改ざんされるリスクが低い
  • •手数料:1件3,900円(本人が法務局に出向いて申請)
  • •注意点:遺言書の内容の確認・助言は行わない(形式チェックのみ)

エンディングノートに書くべき内容

エンディングノートには、遺言書では書きにくい「想い」や「希望」を自由に残せます。法的拘束力はありませんが、家族が困らないよう情報をまとめておくことで、手続きをスムーズに進める助けになります。以下のような内容を記録しておくと、残された家族に役立ちます。

  • •医療・介護の希望(延命治療の意思・介護施設の希望など)
  • •臓器提供・献体の意思
  • •葬儀・お墓に関する希望(宗派・規模・埋葬方法など)
  • •連絡してほしい人の名前・連絡先
  • •保有している財産の概要・場所(通帳・保険証券・不動産の権利証など)
  • •デジタル資産の情報(SNSアカウント・サブスク・ネット銀行など)
  • •家族・友人へのメッセージ・感謝の言葉
  • •ペットの世話のお願い

エンディングノートと遺言書の使い分け

エンディングノートと遺言書は、それぞれが得意とする役割が異なります。「財産の承継先を確実に決めたい」なら遺言書が必要です。「医療・介護の希望や想いを伝えたい」ならエンディングノートが適しています。どちらか一方で済ませようとするのではなく、両方を併用するのが理想的な形です。なお、生前から医療・介護の希望や財産情報をまとめておきたい方には、そなえナビ(https://sonae-navi.app)のようなデジタルツールを活用する方法もあります。

使い分けの目安

やりたいこと必要な書類
財産(預貯金・不動産など)の承継先を指定したい遺言書(必須)
特定の人に多く遺したい・特定の人に遺したくない遺言書(必須)
認知症になった場合の財産管理を任せたい家族信託または任意後見契約
医療・延命治療の希望を伝えたいエンディングノート
葬儀・お墓の希望を伝えたいエンディングノート
家族へのメッセージを残したいエンディングノート
財産の全体像を家族に把握させたいエンディングノート(遺言書との併用を推奨)

遺言書を作成する際の注意点

遺言書を作成する際は、遺留分(いりゅうぶん)に注意が必要です。遺留分とは、法定相続人のうち一定の範囲の方が最低限受け取ることができる財産の割合で、民法で保障されています。遺言書でこれを下回る内容を書いても、遺留分を持つ相続人から「遺留分侵害額請求」が行われる可能性があります。また、遺言書の内容があいまいだと、相続人間でトラブルになることもあります。特に財産の評価や分割方法が複雑な場合は、弁護士や司法書士への相談をおすすめします。

💡 ポイント:遺言書の内容や法的有効性について判断が必要な場合は、弁護士・司法書士への相談をご検討ください。公証役場でも公正証書遺言の作成に関する相談を受け付けています。この記事は情報提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。

よくある質問

Q. エンディングノートに「全財産を妻に」と書いたら法的に有効ですか?

エンディングノートには法的効力がないため、「全財産を妻に」と書いても財産の分割に法的な拘束力は生じません。相続人全員が同意すれば遺産分割協議でその通りに分けることができますが、誰かが同意しない場合は法定相続分などのルールに従う必要があります。財産の承継先を確実に指定したい場合は、遺言書(自筆証書遺言または公正証書遺言)を別途作成してください。

Q. 自筆証書遺言をパソコンで作成してしまいました。無効ですか?

本文をパソコンで作成した自筆証書遺言は無効です。自筆証書遺言は本文全文を本人が手書きする必要があります(民法968条)。ただし、財産目録(財産の一覧)のみは2019年の法改正によりパソコン作成や通帳コピーの添付が認められています。その場合は、財産目録の各ページに署名と押印が必要です。本文はすべて手書きで作成し直す必要があります。

Q. 法務局の遺言書保管制度を使うと何がメリットですか?

主なメリットは2つです。1つ目は「検認不要」になること。通常の自筆証書遺言は相続開始後に家庭裁判所で検認手続きが必要ですが、保管制度を利用していれば不要です。2つ目は紛失・偽造リスクの低減。法務局が原本を保管するため、発見されない・書き換えられるリスクを防げます。手数料は1件3,900円です。ただし、法務局は遺言書の内容が法的に有効かどうかの確認(内容のチェック)は行いません。

Q. 遺言書がある場合、エンディングノートは必要ですか?

遺言書とエンディングノートは役割が異なるため、両方を作成することをおすすめします。遺言書は財産の承継先などを法的に指定するものです。一方、エンディングノートは医療・介護の希望、葬儀の希望、家族へのメッセージ、連絡先などを残すものです。これらは遺言書に書いても法的効力がない(または主目的でない)内容です。遺言書とエンディングノートを併用することで、財産面も気持ち面もカバーできます。

Q. 遺言書を書いた後で内容を変更できますか?

はい、遺言書はいつでも撤回・変更することができます。新しい遺言書を作成すると、内容が抵触する部分については新しい遺言書が優先されます。自筆証書遺言の場合は、以前の遺言書を物理的に破棄するか、新しい遺言書を作成して上書きします。公正証書遺言の場合も、新たに遺言書を作成することで内容を変更できます。複数の遺言書がある場合、最も新しい日付のものが優先されます。

Q. 子どもがいない夫婦です。エンディングノートと遺言書、どちらが必要ですか?

子どものいない夫婦の場合、配偶者が亡くなると亡くなった方の親(または祖父母)・兄弟姉妹も法定相続人になります。そのため、「全財産を配偶者に」と希望する場合でも、遺言書がないと配偶者が全財産を受け取れないケースがあります。こうしたケースでは特に遺言書の作成が重要です。また、医療・介護の希望や葬儀の意向はエンディングノートに残しておくと、配偶者や親族が判断に困るときに役立ちます。

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