小規模宅地等の特例で土地評価80%減|要件・計算例・注意点
公開日: 2026/5/15
本記事の情報源について
法務省・国税庁・裁判所・日本年金機構・金融庁等の公的機関の情報をもとに作成しています。 内容の正確性に努めていますが、法令は改正される場合があります。 具体的な手続きについては最新の公的情報をご確認のうえ、司法書士・弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。
目次
小規模宅地等の特例とは
被相続人が住んでいた土地・事業に使っていた土地などを相続したとき、一定要件を満たせば土地の評価額を最大80%減額できる制度です。相続税の課税対象が大きく圧縮され、自宅を手放さずに済む救済的な仕組みです。
ℹ 補足:この特例は相続税申告書に記載して初めて適用されます。要件を満たしていても申告しなければ受けられないため、申告書の作成時に必ず確認してください。
3類型と減額割合・面積上限
用途によって減額割合と適用できる面積の上限が異なります。
| 類型 | 用途 | 減額 | 面積上限 |
|---|---|---|---|
| 特定居住用宅地等 | 自宅の土地 | 80%減 | 330㎡ |
| 特定事業用宅地等 | 事業に使っている土地(貸付以外) | 80%減 | 400㎡ |
| 貸付事業用宅地等 | 賃貸アパート・駐車場など | 50%減 | 200㎡ |
特定居住用(自宅)の適用要件
最もよく使われる特定居住用は、誰が相続するかで要件が変わります。
- •配偶者が取得:無条件で適用(同居・別居問わず)
- •同居親族が取得:相続税申告期限まで居住+所有を継続
- •別居親族(家なき子):被相続人に配偶者・同居親族がいない+取得者が3年以上借家暮らし等の要件
⚠ 注意:『家なき子』要件は2018年改正で厳しくなりました。相続前3年以内に取得者本人や3親等以内の親族所有の家屋に住んでいた場合は対象外です。
具体的な計算例
自宅土地が240㎡・評価額6,000万円のケース。被相続人と同居していた長男が相続したとします。
- •面積240㎡は上限330㎡以下のため全面積に適用可
- •減額額 = 6,000万円 × 80% = 4,800万円
- •課税対象額 = 6,000万円 − 4,800万円 = 1,200万円
- •つまり評価額が6,000万円から1,200万円に圧縮
申告期限まで売却・転居しないこと
特定居住用と特定事業用の特例を受けるには、相続税の申告期限(10ヶ月)まで土地を所有し続け、かつ自宅なら居住・事業用なら事業を継続している必要があります。途中で売却・転居すると特例は受けられません(配偶者を除く)。
💡 ポイント:申告期限後は売却しても特例の取り消しはありません。10ヶ月だけ我慢して持ち続けるのが鉄則です。
複数の宅地がある場合の調整
自宅と事業用の両方を相続するなど複数の宅地を持つ場合、面積の調整計算が必要です。特定居住用330㎡と特定事業用400㎡は併用可(合計730㎡まで)ですが、貸付事業用と併用する場合は調整式があります。
- •特定居住用 + 特定事業用 → 完全併用可(最大730㎡)
- •貸付事業用との併用 → 調整式により面積が圧縮される
- •どの土地に特例を使うかで税額が大きく変わるため、税理士のシミュレーションが有効
申告に必要な書類
特例適用には申告書のほか、要件を証明する書類の添付が必要です。
- •戸籍謄本・住民票(同居の証明)
- •遺産分割協議書または遺言書
- •申告期限後3年以内の分割見込書(協議未了の場合)
- •家なき子の場合:賃貸借契約書など居住実態の証明
よくある質問
Q. 二世帯住宅でも適用できますか?
構造上区分された二世帯住宅でも、登記が共有または被相続人単独であれば適用できます。区分所有登記されている場合は同居とみなされず適用が制限されることがあります。
Q. 申告期限までに遺産分割が決まらない場合は?
「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出すれば、いったん特例なしで申告し、分割確定後に更正の請求で還付を受けられます。3年を超える場合は税務署長の承認が必要です。
Q. 老人ホーム入所中に亡くなった場合は?
要介護認定を受けて老人ホームに入所し、自宅を空き家にしていた場合でも、被相続人の居住用宅地とみなされます。賃貸に出していないことが要件です。
Q. 申告しないと適用されませんか?
適用には相続税申告書での選択が必須です。基礎控除以下で申告不要に見えるケースでも、特例適用には申告が必要なので必ず提出してください。
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