相続登記をしないとどうなる|10万円以下の過料・売却不可・追加トラブル

公開日: 2026/5/13

本記事の情報源について

法務省・国税庁・裁判所・日本年金機構・金融庁等の公的機関の情報をもとに作成しています。 内容の正確性に努めていますが、法令は改正される場合があります。 具体的な手続きについては最新の公的情報をご確認のうえ、司法書士・弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。

相続登記は2024年4月から義務化された

2024年4月1日施行の改正不動産登記法により、相続によって不動産を取得した相続人は『相続の開始および所有権を取得したことを知った日から3年以内』に相続登記を申請することが義務付けられました。それまでは任意でしたが、義務化により未登記の不動産には罰則が課される可能性があります。

⚠ 注意:義務化は2024年4月以前に発生した相続にも適用されます。施行前から相続済みの不動産も、施行日から3年以内(つまり2027年3月31日まで)に登記が必要です。

罰則:10万円以下の過料

正当な理由なく相続登記を3年以内に申請しなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。過料は罰金とは異なり前科にはなりませんが、行政罰として支払い義務が発生します。法務局が登記の遅延を把握すると、登記官から催告書が届き、それでも対応しない場合に裁判所が過料を決定する流れです。

  • 対象:相続人または遺贈による所有権取得者
  • 期間:取得を知った日から3年以内(過去の相続は施行日から3年)
  • 金額:10万円以下(個別ケースで決定)
  • 催告:いきなり過料ではなく、まず法務局からの催告がある

売却・担保設定ができない実害

罰則以上に大きな実害は、登記簿上の名義人が亡くなった人のままだと、その不動産を売却・贈与・担保設定できないことです。これは義務化の前から存在していた事実上の制約で、相続登記しないことで時間とともにさらにトラブルが膨らみます。

  • 売却:買主が現れても所有権移転登記ができず取引が成立しない
  • 担保設定:銀行融資の担保にできない
  • 賃貸契約:トラブル時の所有者特定が困難
  • 解体・建替:所有者全員の同意が必要だが特定できない

放置するほど大変になる『数次相続』

相続登記をしないまま長期間放置すると、相続人がさらに亡くなり、孫・ひ孫が相続人になる『数次相続』が発生します。すると関係相続人の人数が大幅に増え、遺産分割協議の合意形成が困難になります。

  • 例:父の不動産を相続登記せず → 母が亡くなる → 兄弟が亡くなる → 兄弟の子(甥・姪)も相続人に
  • 戸籍の取り寄せ範囲が爆発的に拡大
  • 面識のない遠縁の親戚が相続人になり連絡が困難
  • 1人でも反対すると遺産分割協議が成立しない

💡 ポイント:数次相続を避けるには、できるだけ早く一次相続の登記を済ませることが何より重要です。「面倒だから後で」が最大のリスクです。

暫定対応:相続人申告登記

本格的な相続登記がすぐに難しい場合は、簡易的に『相続人申告登記』だけでも先に行うことができます。これは『自分が相続人である』ことを登記簿に記載するもので、これによって過料を免れることができます。後で本格的な相続登記を行う必要は残ります。

  • 戸籍謄本など最小限の書類で申請可能
  • 登記費用が安い
  • 義務違反の過料は回避できる
  • ただし所有権の移転は反映されないため、売却等はできない

費用と期間の目安

相続登記にかかる費用は不動産の評価額と依頼先によって異なります。

項目金額の目安
登録免許税固定資産税評価額×0.4%
司法書士報酬5〜10万円程度(複雑なケースはさらに加算)
戸籍謄本など実費数千円〜2万円程度
所要期間書類完備で2〜4週間

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よくある質問

Q. 10万円の過料は本当に科されますか?

法務局からの催告書を無視するなど、悪質なケースで科されます。誠実に対応していれば即過料は稀ですが、放置はリスクが高いので避けるべきです。

Q. 登記しなくても住み続けることはできますか?

居住自体は可能ですが、売却・賃貸・担保設定・建替などが大幅に制限されます。固定資産税の納税義務は引き続きあります。

Q. 相続したことに気づかなかった場合は?

『相続の開始および所有権を取得したことを知った日』から3年が起算されます。知らなかった事情を客観的に説明できれば期限の起算点が変わる場合があります。

Q. 相続放棄すれば登記しなくていいですか?

相続放棄をすれば最初から相続人でなかったとみなされ、相続登記の義務はありません。3ヶ月以内の家庭裁判所への申立が必要です。

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